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2014.06.09

最近観た映画のことなど

最近は「眠狂四郎」シリーズを観ています。

時代劇というと、何本かの黒澤映画や溝口健二の「雨月物語」くらいしか観た記憶がない。

そんな私にとって「眠狂四郎」はいわゆる時代劇というよりはむしろポップアートに近い扱いです。歪んだ杉浦茂というか、大衆的になった澁澤龍彦というか。そういうイメージが好きな人にはお勧めです。

眠狂四郎は浪人とはいえ超人に近い腕前で、敵が何人いてもあまり気にしない様子で容赦なく斬り捨てます。刀も特別仕様らしく何人斬っても大丈夫。血がついて切れ味が鈍ったりはしません。また、必殺技の「円月殺法」も出し惜しみせずに使います。時には「お前に円月殺法を見せてやろう」などと言う時もあります。なお、円月殺法は刀で円を描いてみせると、敵がどうしても斬りかからずにはいられなくなる、一種の催眠術のようなものだそうです。シリーズの途中から円月殺法の際にストロボ撮影を用いるようになってからは、さらに必殺技っぽさが強調されました。

破綻というのか、リアリティに欠ける部分が多々ありながらも「眠狂四郎」には人を惹きつける魅力があります。それは前述の杉浦茂的な冒険活劇と、澁澤龍彦の退廃性が合体したような独特の世界観によるものです。そして、その世界観を十全に体現してみせた市川雷蔵の存在感は言うに及びません。そのようなわけで、特に強くは勧めませんが、杉浦茂と澁澤龍彦が好きな方は観てみてもいいのではないでしょうか。※これは個人の感想です。

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