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2021.09.09

坂本龍一+高谷史郎《water state 1》

東向島でおこなわれたインスタレーション。
内容としては、会場の中央に水を溜めた装置が設置してあり、天井近くから落ちてくる水滴が波紋を作る。会場には環境音楽が流れていた。1セッション30分程度のシンプルな内容。
もともとは、坂本龍一が東向島でインスタレーションを開催するという組み合わせに興味をおぼえて足を運んだが、いってみると 展示そのものもよくできていた。

装置に張った水は隅田川の水だそうだ。
天井近くからぽたぽたと水が垂れてきて、波紋ができる。それだけではあるが、全体を見てもいいし、水面の一部を眺めていてもいい。水面は常に変化する。そしてその変化にはパターンがない。この流動的で不確実というところにこのインスタレーションの面白さがあると感じた。

装置の周囲には石が置かれていた。
これは庭を意識しているのだと思う。
個人的には禅寺を連想した。このインスタレーションには禅的な空気があり、日本人の作るアートとして、特徴を打ち出すことに成功していると感じた。

この会場内で流れている坂本龍一の音楽は、先述のように、環境音楽的なものであり、メロディのあるものではない。こういう耳に残らない、その場の空気を醸成するような音楽も作れることを知り、改めて坂本龍一の音楽的才能を認識した。

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