2012.11.26
聖地バラナシ
先週の金曜日、「ナゼそんなところに日本人」というテレビ番組を見ていたら、インドを訪れる日本人バックパッカーなら誰でも知っている久美子さんが紹介されていた。インドの聖地バラナシのガンガー(ガンジス河)沿いにある久美子ハウスという1泊100円程度の安宿を経営している人である。自分は夜間外出禁止という制約(バラナシはインド有数の治安の悪い町と言われている)を嫌って、隣にある人気双璧の安宿に泊まっていたが。急に11年前を思い出した。
バラナシには3週間滞在した。連続滞在日数歴代1位である。自分は比較的移動する方だが、ここだけは足が止まってしまった。最初の数日は沐浴見学したり、野外火葬場(薪の上に死体を載せて公然と焼く)を見学したり、ガンガーを泳いだり、精力的に活動していたが、その後2週間以上はほとんど何もしていない。インド映画を見に行ったり、床屋へ行くのが大仕事だった。食事以外ほんとに何もしていなかったような。。。午後は毎日夕方まで宿と久美子ハウスの間にある子供だけで営業している青空チャイ屋でチャイを飲みながらガンガーを眺めていた。チャイ屋の子供たちが上げる凧が宿のテラス部分に引っ掛かったときに、代わりに取りに行くのが自分の仕事である。日が傾くころには仲間が集まりだして、誰からともなく、「夕飯行きますか」となる。1人でいたい性質であるバックパッカーも、余程の変人でない限り夕飯は誰かと一緒に食べたいものなのだ。あの日々は何だったのだろう。。。自分の旅を大きく変えてしまった場所、バラナシ。ここだけは3日以内に去らなければいけない。それ以上いると出れなくなる。ああ、今宵も真っ暗なガンガーに無数の灯篭が流れゆく。ここは聖地なのか、死地なのか。。生地では、ない。